子どもがひらがなを少しずつ書けるようになったけど、文字が反転してるなぁ…。
何回練習しても正しく書けない…。
と、子どもの文字の書き方に悩んでいませんか?
この記事では子どもが反転して書いてしまう原因とその対策や克服するコツを、現役保育士であり元幼稚園教諭の筆者が解説しています。
子どもの鏡文字に対する理解を深め、正しい文字の書き方を身につけられるようサポートしましょう!
ひらがなが反転する鏡文字現象とは?
子どもがひらがなを学び始めると直面するのが「鏡文字」の現象です。鏡文字とは文字が左右反転して書かれることを指し、「し」が「J」のように、または「の」が逆方向に書かれることが例として挙げられます。鏡に映したように反転して見えるため、「鏡文字」と呼ばれています。
鏡文字は小学校に入る前後の6歳頃までよく見られる現象です。この時期は子どもたちが試行錯誤しながら学び進めている証拠でもあります。
鏡文字は日本の子どもだけでなく、世界中の子どもたちに共通して見られる現象です。子どもの発達において自然な過程の一部であり、一時的なものであることが多いです。
子どもが鏡文字を書くことに対して、過度に心配する必要はありません。多くの子どもが成長と共に自然と正しい文字の向きで書けるようになります。(※鏡文字が就学後も長く続く場合や読み書きに関する他の問題が見られる場合は、専門家に相談することが推奨されます)
なぜ子どもはひらがなを反転させてしまうのか?
子どもたちがひらがなを反転させてしまう背景には、いくつかの原因が考えられます。これらの原因を知っておくことで、子どもが鏡文字を書いた時も焦らずに寛容な気持ちで見守ることができます。
左右の認識の難しさ
幼児期は、左右の区別をつけることが困難な時期です。
上下や前後と異なり左右は視覚的にも空間的にも認識しにくい概念なので、混同してしまい文字の左右反転が発生しやすくなるのです。
脳の発達段階
幼少期には右脳が活発に働き形やイメージを捉えますが、言語や文字を処理する左脳はまだ発達途中。
なので文字の正確な認識や再現が難しく、ひらがなが反転してしまうことがあるのです。
しかし成長と共に左脳の機能が発達し右脳との連携が強化されると、自然と文字の反転は減少します。
利き手の影響
利き手がまだはっきりしない子どもや左利きの子どもは特に、鏡文字を書きやすいとされています。
文字は右利きの人が書きやすいように設計されていますが、左利きの子どもにとっては直感的でないため、反転させてしまうことがあります。
文字への認識の仕方
幼児期の子どもは、文字を単なる図形や絵として捉えています。
そのため文字の正確な向きや形に対する認識が不完全であり、反転させてしまうことも珍しくありません。
文字を書くことは子どもにとって新しいスキルであるため、試行錯誤の過程で鏡文字が生まれるのです。
これらの理由を踏まえると子どもがひらがなを反転させてしまう現象は発達の過程で自然に起こりうるものであり、過度な心配は必要ありません。
子どもたちが文字の世界に慣れ親しむにつれ、自然と正しい文字の書き方を身につけていくでしょう。
親ができる鏡文字対策とは?
子どもがひらがなを反転させて書いた時、親が取り組める対策はいくつかあります。
子どもたちが正しい文字の形を楽しく学べるようにサポートしましょう。
見守りと声掛け
子どもが鏡文字を書いたとしても、過剰に反応せず冷静に見守ることが大切です。
間違いを指摘する際にも否定的な言葉遣いを避け、ポジティブな言葉を選んでください。
「一緒に見てみよう」といった前向きなやり取りが子どもの学習意欲を育みます。
ひらがな表の活用
子どもの目につく場所にひらがな表を掲示し、日常的に文字に触れる機会を増やすことも有効です。
遊んでいる時やお風呂に入っている時など、さりげなくひらがな表を指差して「この文字なーんだ?」とクイズ形式にして楽しい会話のきっかけにしてみましょう。
書き順の重要性
文字を書く際に、正しい書き順を守ることもポイントの一つです。書き順を正しく覚えることで、自然と正しい文字の形が身につきます。
子どもと一緒にゆっくりと文字を書く練習をしましょう。
書き順を楽しく覚えられるアプリや教材を活用するのも良いですね。
鉛筆の持ち方
正しく鉛筆を持てていない場合、鉛筆の芯が書きにくい位置にある場合もあります。
持ち方矯正グリップなども販売していますが、おすすめは鉛筆自体にくぼみがあるタイプ。
学校にグリップを持っていかなくてもいいですし、いちいち着けたり外したりする手間もいりません。
STABILOの鉛筆はくぼみがあることで正しい位置に指がフィットし、自然と正しい持ち方を身につけることができます。
右利き用か左利き用か選択できるようになっているので、正しい持ち方を身につけたい方は試してみてください。
硬さも2BとHBを選択できるようになっているので、学校で指定がある場合や子どもの好みによって選べます。
左利きの子どもへの対応
左利きでも使いやすい文房具を用意する、子どもの左腕側には物を置かないなど、書きやすい環境を整えましょう。
また右利きが書き始める反対の位置からスタートすると、書きやすくなります。
内側から外側に書くのは書きにくいですよね。こだわりがないのであれば、反対の位置から書き始めてみてはいかがでしょうか。
書き方をアレンジすることで、鏡文字を減らすことが可能になります。
左利きの子どものための書き方を紹介する本やウェブサイトも参考にしてみましょう。
鏡文字を克服するコツ
子どもがひらがなを学ぶ過程で鏡文字を書いてしまうのは一般的な現象です。
しかし楽しく効果的に学習することで、鏡文字を減らし正しい文字の形を身につけることができます。
ここでは、ひらがなの楽しい学習方法と鏡文字を克服するためのコツをご紹介します。
書き順を楽しく学ぶ
書き順とは、書きやすい順番になっています。正しい書き順を学ぶことで、正しい文字の形が書けるようになっていきます。
書き順を楽しく学べるドリルやアプリを活用し、遊び感覚で練習を繰り返しましょう。
親子で一画ずつ交互に書いていく書き順ゲームをすることも、楽しみながら学習を進める良い方法です。
溝をなぞるドリルを使用する
一般的なひらがなドリルはガイド線の上を鉛筆でなぞって書くタイプですが、それだとはみ出しやすくて子どものやる気が削がれちゃったり、一度書いたら終わりだから苦手な字を重点的に練習できなかったりと使いにくさを感じることもあります。
そこでよくおすすめしているのが「みぞなぞり習字ボード」です。
文字部分が溝になっているので、溝をなぞるだけで綺麗に書くことができるのです。
文字を綺麗に書けるので子どものやる気も上がります。
付属のペンで文字を書くとしばらくすると消えるので、何度でも練習することができますよ。
書き順も丁寧に練習できるので、書き順で悩んでいる方にもおすすめです。
視覚的な学習を取り入れる
子どもは視覚的な情報から多くを学びます。
ひらがなを学ぶ際にも、色とりどりのひらがなカードやイラスト付きの教材を使用し、文字と絵の関連付けを楽しく学びましょう。
視覚的な印象を強くすることで、正しい文字の形を自然と覚えることができます。
言葉遊びを取り入れる
ひらがなを学ぶ上で、言葉遊びも有効な方法の一つです。
ひらがなカードを使ったしりとりや、文字を使った絵合わせゲームなど、楽しみながら言葉と文字に親しむことができます。
ずっと書くことばかりだと「させられている」と窮屈になってしまうので、言葉遊びを通じて自然と文字への興味を育てましょう。
定期的な復習と繰り返し練習
学んだひらがなは定期的に復習し、繰り返し練習することが大切です。特に似ている形の文字や間違えやすい文字は重点的に。
毎日少しずつでも良いので文字を書く練習を続けることで、正しい形をしっかりと身につけることができます。
子どものやる気が削がれてしまったら無理強いはさせず、ひらがなに対する苦手感を抱かせないように配慮しましょう。
今だけの可愛い文字も大切に
子どもが鏡文字を書いてしまうことに対して焦りや不安を感じることもあるかもしれませんが、鏡文字は子どもの成長と発達の過程なのです。
その鏡文字は「今だけ」の期間限定。
正しく書いてほしいと思うかもしれませんが、今しか書けない子どもらしい可愛い字は、何年後かにはもう見ることはできません。
子どものペースを尊重しつつ、楽しんで文字学習ができるサポートをしましょう。切羽詰まらなくても大丈夫ですよ。
子どもがひらがなを学ぶ過程は、楽しい発見と挑戦の連続なのです。
正しい学習方法と繰り返しの練習を通じて、子ども自身が文字の魅力を感じ、自信を持ってひらがなを書けるようになる日が楽しみですね。
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